Twitterアカウント名が商標権侵害で訴えられそうになった話

2011年1月27日、僕はツイッター上において約4年間使用してきた自分のアカウント名を、 @anonymizer から @anon5r に変更した。
これには次のような利用があったからだ。


2011年1月25日、僕の元に1通のメールが届いた。
その内容は、普段ツイッターで利用していたアカウント名 @anonymizer が、米国Anonymizer, Inc.の商標権を侵害していると言う内容だった。
差出人名は Anonymizer社の社長、Bill Unrue氏。

貴方が利用しているTwitterのアカウント名である @anonymizerが、Anonymizer社の国際商標権を侵害していて、その顧客を混乱させている。

中略

Twitterユーザ名のいかなる部分においてもAnonymizer社の商標であるAnonymizerの名前を使用しないで欲しい。また、米国、ヨーロッパ、カナダ、もちろん日本でも国際商標権を取得しており、その他の国においてもこれらを現在取得中である。よって、必要に応じては当社は商標権侵害として提訴することも可能である。

中略

ただし、なるべく訴訟問題としてこの問題を避けたいのでこちらから提出する条件を貴方が飲めるのであれば、アカウント名を変更し、その旨同意のことをこのメールから7日以内に返信して欲しい。
ただし、返答なき場合は法的手段で権利主張を訴える考えがある。

※上記内容は意訳。

文章もすべてとても丁寧な日本語で書かれていた。そこは恐らく日本語を扱える国際弁護士なんかに頼んだものだろう。

それにして、ドメイン名であればまだしも、たかだか1ウェブサービス上におけるアカウント名について商標権を訴えられるとは考えてもいなかった。
(アカウント名程度なら権利侵害をしてもいいという意味ではない)

ちなみに2つめの中略の部分には、向こうから提示された条件が書かれていた。その条件というのは

  • 対応に際して一定の金額を支払うこと。

  • Anonymizer社のサービス1年間分無料で提供すること。



正直、そこで金銭的な関係が発生するとは正直思ってなかった。せいぜい、後者程度かなと。
この条件提示を受けて、「あぁ、このアカウントそんなに欲しいんだ」と思った。
と同時に、ぶっちゃけ長い間使ってきたアカウント名で愛着はあるとは言うものの、変更するだけでそこまでしてもらえるならそれでもいいか。
という考えがよぎり、この交渉に応じることにした。

上にも書いたとおり、4年間使い通してきたアカウント名をみすみす手放すのは惜しい。ずっとこれでやってきたわけだしね。
けれど、僕が権利侵害していると言えばそれは事実だし(それがアカウント名までに及ぶかは調べてないし分からないけれど)、僕自身、ツイッターのアカウント名にそこまでこだわる理由もない。
そして何より正直そんなつまらないことで訴訟なんか起こされてても(お互いに)しょうがない。


ちなみに現在は @Anonymizer のアカウントAnonymizer, Inc. が既に使用しているらしい。先方が行ってくれるという誠意条件のところはまだ連絡を取り合ってる最中だけど、社長はお忙しいらしく返信は2日に1回くらいの頻度でしかもらえていない。正直、本当に条件を守ってもらえるのかも現在においては不明…。っても、こんな事で向こうが最初から嘘をついてもしょうがないと思うので今のところ信じてます。


こんな事があり、現在は @anon5r というアカウント名に変更してます。
@anon5r というアカウント名も anonymizer という語の一部をNumeronym (ヌメロニム)で省略しただけなんだけれども。
欲を言えば、ホントは @anon (現在取得されている)が使いたいんだけどねぇ…。


何故こうなった!いや、僕がアカウント名を使ってたからなんだけどね。でも、いい悪いとかは抜きにして、Anonymizer社がここまでしている理由は正直よく分からない。

先日、アカウント変更直後に anonymizer でググってみたら、日本語での検索結果で3番目、英語でググってみて2ページ目の3番目に僕のツイッターアカウント名が出ていた。
なのでそういった意味でもAnonymizer, Inc.にとっては魅力的だったのかもしれないし、まったく見ず知らずの訳の分からない日本人がろくでもないことをつぶやいていたりして気にしていたのかもしれない。

また別の見方として、Twitterにおけるアカウント名が企業にとって重要なものとなってきていること、そして何より、Twitterそのものが企業にとって重要な情報発信媒体となってきていることが言えるのではないかなと感じた。



最後に念のため申し上げておくと、僕はドメイン名紛争問題などにおける企業名や商標名などのアカウントを取得して、売るといった目的でアカウントを利用していたわけでは決してないことを付け加えておきます。
今回のケースでは先方の好意もありこのような結果となりましたが、全ての企業がこのような対応をされるとも思いませんし、それ以前に既に命名などにおける権利を保有している他者への侵害目的でのアカウント名またはスクリーン名の利用はTwitterの利用規約に反することになり、その旨の対応がTwitterにより行われる可能性がありますのでその旨ご注意ください。
(この利用規約については僕は十分理解しないままずっと使い続けてきてしまい、最近この問題があって規約を読み返したとき、初めてこの規約について気付いたので…)


以下、変更と追記

2011年1月31日 13時32分

先方からの条件を具体的に書いてしまっていたのを抽象的にした。理由はこれを前例として似たような問題の発生と、それに対する対価基準がこれ。といった事例が事例が増えるのを避けたいため。

追記として、僕がアカウント名に anonymizer というIDを使っていた理由は、実際に Anonymizer.com のサービス名に影響を受けていたという事実があります。
(ただしAnonymizer.comや同社に対してどうこうしたいという考えは全くありません)
また、"Anonymizer" という単語は実際同社による造語であり、一般的な用語ではないというのも事実。

僕の中でそういった経緯もあり、今回の対応をとりました。
元々に自分で考えた(つもりであった)名前が、今回のような問い合わせがあったとしたら、別の対応を取っていたかも知れません。


2011年1月31日 17時13分

Twitter社における、商標権に関するポリシーを明言しているページへのリンクを追記。

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